EMI KAWANO

川野 恵美かわの えみ

WELLNESS

管理栄養士・川野恵美さんから毎日の食事の心得やバランスをアドバイス。

第8回は、最高のパフォーマンスを発揮するため、資生堂ランニングクラブの選手12名にとって欠かせない存在となっている管理栄養士の川野さんが、日々の食事の心得やバランスについてアドバイスします。

2019.03.15 FRI

アスリートやランナーだけでなく、多くの人が気になる日頃の食事や栄養バランスについてお話ししてくれました。

ADVICE栄養管理のプロからのアドバイス

食事が適正かどうかは体重を目安にする

皆さんは普段食べている食事がちょうどよいかどうかご存知でしょうか。
カロリー計算などせず一般の人でも簡単に知る方法があります。それは体重計に乗ることです。体重は摂取エネルギー(食べる量)と消費エネルギー(動く量)が同じであれば変化はなく、健康的な体格(BMI)が維持できます。食べる量が動く量より多いと太り、少ないとやせます。つまり、体重をはかることを習慣にすることで、自分で食事内容や運動量をコントロールしやすくなります。

そして、今の食事が適正かどうかは、BMI(体格指数)を目安にするとよいでしょう。目標とするBMIの範囲を上回っていればエネルギーの過剰摂取で、下回っていれば摂取不足と判断します。範囲から外れているときは食事の量や内容を見直し、バランスのよい食事を心掛けましょう。

BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

年齢(歳) 目標とするBMIの範囲
18~49 18.5~24.9
50~69 20.0~24.9
70以上 21.5~24.9

『日本人の食事摂取基準2015年版』より

バランスの良い食事を心掛ける

ランナーに限ったことではないですが、健康なからだを保つためにはバランスの良い食事が重要です。バランスのよい食事にするには多くの食品を組み合わせて、さまざまな栄養素をまんべんなく摂る必要があります。

資生堂ランニングクラブでは、平日の朝・夜と土曜日の朝は私が献立を立て、食事を提供しています。夕食はご飯、メインとなるお肉やお魚、副菜を2、3品、汁物、そしてフルーツが定番。朝食は卵料理をメインにして、ヨーグルトも加えるようにしています。主食、主菜、副菜、乳製品、果物を揃える献立にすることで、簡単にバランスの良い食事が整います。さらに、主菜となるお肉やお魚の種類や調理法を毎日変えることで、偏りなくさまざまな栄養素を摂ることができ、日々、色々な味が楽しめる食事になります。

時には好きなものを。過度な制限は逆効果

現在、選手の食事はアプリを使用し摂取したものを撮影、登録してもらい管理しています。お昼と週末の食事は自由ですので、選手に投稿してもらった写真で食事に偏りがないかチェックし、アドバイスするようにしています。

あまり厳しく管理すると、それが選手のストレスになり、かえってパフォーマンスの低下に繋がる恐れがあります。そのためにも強制ではなく、あくまでも自己管理するように促すことがポイント。みなさんもストレスを溜めないよう、制限し過ぎないことも食事の心得と言えます。

川野栄養士が語ってくれた「食事の心得と栄養バランス」、今回は栄養不足で特に注意したい「スポーツ貧血」についての豆知識をまとめてみました。

Vol.08

ランニングパフォーマンスを落とす“貧血”対策

いつもと変わらない距離やペースで走っているはずなのに、どうしても調子が悪い、フラフラする、などの場合は「スポーツ貧血」を疑ってみましょう。ランナー、特に男性に比べて貧血を起こしやすい女性は注意が必要になります。

今回はランニングパフォーマンスに大きな影響を及ぼす「スポーツ貧血」に注目し、その原因と対策を紹介していきます。

スポーツ貧血とは?

運動量の多いハードなスポーツをする選手に起こりやすいのが、スポーツ貧血です。主な原因はヘモグロビン、鉄分の欠乏。汗などで排出されたり、走る際に足が地面に着地する衝撃により、ヘモグロビンを含む赤血球が壊れたりするためです。長距離を走れば歩数が簡単に1万回を超えるランニング、さらに汗をかく量が多ければ、スポーツ貧血にはなりやすい状態と言えます。

スポーツ貧血の症状は

・いつもよりも疲れやすい
・食欲不振
・身体のだるさ
・まぶたの裏が白い

以上の症状が続く場合は、スポーツ貧血の疑いがありあります。症状が続く場合は自分で判断せず、医師に相談することをおすすめします。

不足するとスポーツ貧血の一因となるヘモグロビン。赤血球の中に含まれるたんぱく質の一種で、酸素などを運搬する働きをします。赤血球やヘモグロビンが少なくなると、呼吸で摂り込んだ酸素が利用できなくなり、低酸素状態となってしまいます。

低酸素状態から抜け出そうと、身体は心拍数、血流量を増やし酸素を多く運ぼうとします。すると軽い運動でも動悸や息切れ、持久力の低下を引き起こし、短い距離のランニングでも疲労感を覚えることになります。

また、慢性的な疲労感は集中力の低下につながり、モチベーション低下の要因にもなります。この症状が長く続けば続くほど、パフォーマンスの低下につながっていきます。

積極的に摂りたい貧血に効く栄養素

スポーツ貧血の対策として、運動によって欠乏する鉄分を補給することが大切です。動物性食品に多く含まれているヘム鉄は吸収率が高いためおすすめ。植物性食品に多く含まれている非ヘム鉄は吸収率が低いですが、ビタミンCと一緒に摂ることで、吸収率がアップします。さらにヘモグロビンの材料となっているたんぱく質が豊富な食品も日常的に摂るようにしましょう。特に貧血になりやすい女性は、日頃から鉄分を含む食品を積極的に摂るようにしましょう。

●動物性のもの(ヘム鉄):豚レバー、鶏レバー、牛レバー、牛もも赤身、かつお、いわし、まぐろ、あさり など
●植物性のもの(非ヘム鉄):小松菜、ほうれん草、ひじき(乾燥)、切干大根、納豆、木綿豆腐、大豆、凍り豆腐、きな粉 など

川野 恵美EMI KAWANO

資生堂ランニングクラブ

高校までは陸上競技に専念し、都道府県対抗女子駅伝の代表にも選ばれたランナーだった川野さんは、チームの管理栄養士としてだけでなく選手たちのお姉さん的存在。毎日、寮の近くのスーパーまで12名分の食料を電動自転車で買いに行き、選手の胃袋を支えている。食費も管理しており、近隣スーパーのセール情報も完璧。